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キング・オブ・コンクリート2017 ~DATE CON KING~

【​開催報告】

 2017年仙台大会において、第3回となる「キング・オブ・コンクリート」が開催されました。今年度の企画は「コンクリート琴」と呼ぶコンクリート製の鍵盤打楽器を作製し、大会キャッチフレーズにちなんだDATEな性能Durable, Attractive, Tough and Elegant)を競うものです。参加学生には高いハードルに見える企画にも関わらず、運営の予想と期待を超える28チームの参加と力作・熱演によって、盛況のうちに開催できました。

【競技概要

 作製したコンクリート琴による4部門(大会期間中はD(耐久性)部門を除く3部門)の競技を行いました。

 大会初日(2017年7月12日)にはE楽器性能)部門、2日目(2017年7月13日)のA演奏)部門、最終日(2017年7月14日)のT曲げ強度)部門それぞれの順位を出して集計し、総合順位を決定しました。

 コンクリート琴は、コンクリート・モルタル製の鍵盤を1オクターブ分の白鍵8音階を基本として作製することとしました。E・T・D部門ではこの8鍵盤から選択し、A部門での演奏にのみ、これを超える鍵盤を使用可としました。また、鉄筋など線材の使用、表面塗装、電気的なアンプの使用などは禁止としたほかは固定架台も含めて、制限は最小限に留めました。

【参加28チーム(受付順)

秋田県立大学A/横浜国立大学/東北職業能力開発大学校/群馬大学/立命館大学/山形工業高校A/東京理科大学(工学部)/東北大学/京都大学/岐阜大学/日本大学/長岡技術科学大学/浅野工学専門学校/東京工業大学/秋田県立大学B/名古屋大学A/長岡工業高等専門学校/法政大学/名古屋大学B/東京大学/芝浦工業大学/徳島大学/九州工業大学/東京理科大学(理工学部)/福岡大学/山形工業高校B/熊本大学/東海大学

Elegant部門(楽器性能部門)

 白鍵8音階分の基準音程(周波数)と基準音階を与え、音の正しさと響きで競う競技としました。1オクターブ分の演奏を録音し、この波形にフーリエ解析を行い、基準音程からのずれ(E1)、音階からのずれ(E2)、音の響き(減衰時間)(E3)の3つの評価指標を算出してE部門の順位を決定しました。

(値は小さい方がよい)

(値は小さい方がよい)

(値は大きい方がよい)

ここで、f 0,iは既定の示す周波数、f iはi番目鍵盤での測定周波数、R0,iは既定の周波数比、f 1は基準鍵盤の周波数の測定値、Tiはi番目鍵盤の振幅が半減する時間の測定値です。

 E部門の結果は右表のようになりました。部門優勝の浅野工学専門学校をはじめ、上位チームのコンクリート琴は素人の耳には完全に正しい1オクターブ分の音階であり、また、共鳴管を準備したチームは響きもよく、翌日の演奏を期待させる出来栄えでした。

浅野工学専門学校 E部門

Attractive部門(演奏部門)

 課題曲「ドレミの歌」と自由曲の2曲を、コンクリート琴のみを使ってステージ上で演奏し、審査員5名の評価(各50点・計250点満点)で順位付けしました。

 審査員は、音楽関係からパーカッショニスト・誉田広耶様、ヤマハ株式会社・鈴木克典様、コンクリート分野からは立命館大学・岡本享久先生と土木研究所・大島義信様、東北学院大学・石川雅美先生(JCI東北支部長)にお願いしました。加えて、音楽家の榊原光裕様にも、準備段階から多大なご支援をいただきました。

 各チームの演奏は予想を遥かに超える素晴らしいものが数多くあり、特に上位チームの演奏は甲乙付けがたいものでした。右表にA部門の順位を示します。

 各チームの演奏は、こちらからご覧ください。また、

審査員の誉田様に、浅野工学専門学校・長岡技術科学大学・東北職業能力開発大学校の3つのコンクリート琴を使ったデモ演奏を披露いただきました。

横浜国立大学 A部門

東北職業能力開発大学校 A部門

芝浦工業大学 A部門

九州工業大学 A部門

誉田様 デモ演奏

法政大学 A部門?

Tough部門(曲げ強度部門)

 T部門の結果を右表に示します。楽器とは切り離した性能のため、これを捨てて強度のみを狙ったチームが上位を占めるのではと予想していましたが、E部門の上位3チームがT部門でも上位3チームとなりました。この結果は偶然だけではなく、緻密で一様な構造による澄んだ音、音階の制御が実現したことも一因に思われます。また、上位と下位で大きな差があり、1位の横浜国立大学は用意したロードセル(容量30kN)では破壊できず、この点でも運営側の予想を超えてきました。

熊本大学 T部門

横浜国立大学 T部門

TKING OF CONCRETE 総合順位

 各部門でのポイントから算出したをあわせた総合順位を表に示します。部門賞2冠の横浜国立大学が総合優勝、僅差の2位は浅野工学専門学校でした。KOC強豪校の横浜国立大学は千葉大会に続く2回目の総合優勝、初出場の浅野工学専門学校も大健闘でした。

【表彰と閉会式】

 閉会式では、各部門・総合上位3位まで表彰状が授与されました。また、来場者投票によるポスター賞(投票総数277票)が群馬大学に、参加と健闘を称える実行委員長特別賞が山形工業高校に授与されました。表彰の後、「キング・オブ・コンクリート」横浜国立大学の演奏披露がありました。チームメンバー総勢12名での演奏は、ご来場の皆さまにも心に残るものだった思います。

 キング・オブ・コンクリート2017 DATE CON KINGは、参加チームの皆さま、A部門審査員の皆さま、また、運営に当たってご尽力いただきました実行委員長以下、委員の皆さま方に支えられ盛会に終えることができました。本当にありがとうございました。

 この企画自体はコンクリート技術の直接的な発展に寄与する性質のものではないかも知れませんが、本気で準備に取り組んだ参加学生のモチベーションや、JCIの一般へのアピールに寄与できたものと考えています。大会期間中はTwitterでのリアルタイム更新を行い、仙台地元紙の河北新報にも掲載されました。工業高校の参加により、保護者の方にもご来場いただきました。

 次年度の神戸では、既にKOC部会が立ち上がったと伺いました。このような、コンクリートの新しい可能性を拓く企画が、今後も継続されることを祈念しております。

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