支部長挨拶
この度,公益社団法人日本コンクリート工学会東北支部長の大役を仰せつかることになりました日本大学の岩城です.平成7年に東北支部が発足して以来,24年目にして14代目の支部長ということになり,身の引き締まる思いです.また,個人的には初代支部長が恩師の三浦尚先生だったことから,感慨深いものがあります.
東北支部は関東支部などに比べ,決して大きな所帯ではありませんが,そのチームワークの良さは特筆すべきものがあります.特に8年前に震災を経験して以降,さらに結束力が高まり,他支部にはない特徴的な活動を行ってきたと自負しています.こうした活動は,支部の幹事・役員をはじめとする支部会員が,「皆で少しずつ汗をかく」ことを自覚し,それぞれの持ち場,得意分野で活発に活動してきた賜物と言えます.このような取り組みは当たり前のように見えて,どこの組織でも容易に出来ることではありません.
こうした東北支部の特長を生かし,任期の間に行いたいこととして,研究活動の活性化が挙げられます.その具体的な方法ですが,2019年現在から2年後に震災10年となる節目として,支部主催の特別シンポジウムを企画し,そこに向けた研究・技術の集約を図ろうと考えています.幸い,2019年7月の幹事会・役員会で,早速3つの研究テーマが打ち出されました.「施工の良否がコンクリート構造物の性能に及ぼす影響」,「津波で被災したコンクリート構造物の塩分調査(継続)」,「東北地方において排出されるフライアッシュを利活用したコンクリートの普及」です(タイトルはいずれも仮).これらは何れも時宜を得たテーマであると共に,東北支部が他支部に先駆けて推進するに相応しいものであり,その成果に大いに期待しています.そして,震災後8年間にわたる様々な活動と,今後2年間の活動を集約させて,特別シンポジウム「震災から10年 -東北発 コンクリート構造物の長寿命化に向けた技術開発の軌跡-」(タイトルは仮)を開催したいと考えています.
以上の活動を通して,繰返しになりますが,この2年間,「皆で少しずつ汗をかき,東北支部がより良い組織となる」ことを目指して尽力する所存ですので,皆様方のご協力を賜りますよう,お願い申し上げます.
支部長:岩城 一郎
(日本大学 教授)